人の生きる力

炊き出しボランティアに行く前、

自分の中でひとつ気になっていた事があった。

それは、被災者の方々に「どんな言葉をかければいいのだろうか?」ということ。

「がんばってください。」というのは簡単だが、

帰る家がある僕らが言ったところで、

あまり意味がないような気がしていた。

そして、その自分の中での疑問を解決しないまま、

1日目の炊き出しボランティアを開始した。

炊き出し場所のすぐ近くには倒壊した家や

グチャグチャになった車が転がっている。

いま、ここに住む人々の心境はどんなものだろうかと考えていた。

炊き出し開始時刻になると、街の人が出てきてくれた、

そこで気づいた事がある。それは街の人がみんな素敵な笑顔でいること。

みんな冗談を言いながら楽しそうに炊き出しの食事を食べていた。

どうしてこの状況で笑えるのだろうか?

この先の事を考えると不安になるのではないだろうか?

そんな疑問が自分の心の中でわいてくる。

その疑問を勇気を出して

一番いい笑顔をしていたおじさんに聞いてみた。

 「どうして、みなさん素敵な笑顔でいられるのか」を

おじさんはこう言った。

 「震災当日はとても悲惨だった。

  うちの街で山に避難しなかった者は

  残念ながらみんな死んだ。

  私は一生懸命、山へ避難するように声をかけたが、

  山に避難したのは一部の人間のみだった。

  津波が収まり、街に降りてみると多くの遺体が転がっていた。

  その時は、どうしてもっと強く避難を呼びかけなかったのか、

  その事で、自分を責めを強く後悔して苦しんだ。

  でもね、自分を責めたところで、この現実は変わらないし、

  亡くなった方が生き返るわけでもない。

  そして、いま、自分を責めるよりも、

  復興へ向けて他にするべき事が沢山ある。

  もう、あれ以上の地獄はないだろう、

  あと残るのは、明るい未来への道だけだよ。

  たぶん、ここのみんな同じ気持ちじゃないかな。

  何十年かかるかわからないけど、必ず復興するから。

  その時は遊びにおいで。」

このお話を聞いて、自分の中の疑問が吹っ飛んだ。

そして人の生きる力の力強さを実感した。

5日間、色々な人からお話を聞いたが、

みんな、いい笑顔をしながら当時の事を話してくれる。

よく、現地に行くと、

逆に励まされるという事を聞いていたが、

この意味がほんとうに理解できた。

きっと、色々な困難があるからこそ、

人は強くなり、優しくなるだと思う。

それが、今回の活動で1番感じたこと。

今日も1日ありがとうございます。

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